久米川発電所跡
所在地:長野県飯田市上川路755-1 (マップコード:313 771 172) Mapion
取 水:天竜川水系久米川 放 流:久米川
出 力: 35 kW
大正11.11 運転開始[竜丘電気利用組合]
昭和19.8 移管[中部配電(株)]
昭和24.5 休止
昭和26.5 移管[中部電力(株)]
昭和32.10 廃止
飯田市の郊外,国道151号線からほど近い農道の脇に,久米川発電所跡の案内看板が立っていました。
中部電力が設置した看板のようです。
久米川発電所の歴史や,
建設した竜丘電気利用組合について
書かれています。
看板の前を通り過ぎて細い農道を進みましたが,
なかなか発電所らしきものが見当たりません。
たまたま近くの果樹園で剪定作業をしていたおとうさんに
聞いてみると,「それだったら,この先にあるよ」
といって,仕事の手を休め案内してくれました。
やがておとうさんの指差した場所がこの写真です。
写真左側の水路は農業用水で,発電所には無関係です。
発電所跡は写真中央の杭のようなものが立っているところです。
久米川発電所 跡 出力35kW 有効落差約22m 使用水量0.2㎥
竜丘電気利用組合 建設 建設 大正11年11月 移管 昭和18年10月
中部配電株式会社(現中部電力) 継承 廃止 昭和32年10月
標識杭のそばに1段高くなっているところは
運転員の住宅があったところだと,おとうさんが
教えてくれました。
石垣と石段が残っています。
標識杭の立っているレベルが発電所の敷地
だった模様で,水車のドラフトが口を開けていました。
管の直径は約250mmです。
ドラフトの向こう側には,鉄塔の残骸が
残っていました。
発電所敷地の山側の石垣です。
まだまだしっかりしているようです。
上部中央付近には,水圧鉄管の
支持台と思われるものが見えています。
石垣の脇には余水路が確認できました。
枯れた竹がだいぶ積もっています。
少量ですが,水の流れがあります。
余水路を辿って斜面を登っていくと,上水槽跡に
たどりつきました。
大きさは3m×1.5mくらいです。ごみが多くて深さはわかりません。
余水吐の開口の形が面白いです。
水は写真右側から管路で流れ込むようです。右側の壁の内側に管路口
が見えています。
発電所は写真左側下方にあり,左側側壁に水圧鉄管が
接続されていました。
上水槽から余水路を見下ろしたところです。
台形の余水吐から流れ出た余水は,滑り台のような余水路を通って
流れていきます。
滑り台の先端部分で左に90度向きを変え,石垣の脇の流路へ
流れていきます。
水槽の側壁には,水圧鉄管の接続部が口を開けていました。
鉄管の管路は直径260mmでした。
水圧鉄管を下から支える小支台(左写真)や
鉄管を巻き込んで固定するアンカーブロック(右写真)
が残っています。
おとうさんからの情報によると,発電所のやや下流
この辺りが放水口だったとのことでした。
痕跡をみつけることはできませんでした。
今回も地元のおとうさんに教えていただき
有意義な調査ができました。
産業組合による電気事業の嚆矢となった
竜丘電気利用組合の発電所でした。
(調査日:2009.2.1)