水窪発電所跡 


所在地:静岡県浜松市天竜区水窪町山住 (マップコード:386 825 787)  Mapion

取 水:天竜川水系水窪河内川     放 流:水窪河内川

出 力: 25kW → 40 kW

 

  

大正8.1   運転開始[奥山電灯] (旧称「河内川」)

?      増強 (25kW → 42kW)

昭和14.1  改称 (「水窪」)

?      出力変更 (端数処理 42kW → 40kW)

?        移管[中央電力(株)]

昭和17.4   移管[中部配電(株)]

昭和20.9  休止

昭和26.5  移管[中部電力(株)]

昭和27.10  廃止 


水路跡JR飯田線の向市場(むかいちば)駅の前を通り,水窪河内川を遡ると

右岸側の山の斜面に水路跡を発見しました

今回は事前リサーチが思うような成果を上げられず,河川名のみ解った

状態での,いわゆる「出たとこ勝負」的な調査でした。

現地の,川沿いの畑で作業中のおとうさんに場所を聞いて

見つけることができました。

 

水路の幅は約450mm,深さは約500mmでした。

(深さは落葉の堆積により正確には測れませんでした)

 

 

 崩壊水路

水路とその下の石垣がしっかりと残っているところも

ありますが(左写真)

水路の片側の壁が崩壊して完全になくなっている

部分(右写真の左側)もありました。

 

 

 

 

 

 

 

水路橋

水路が沢を横断する部分には,水路橋が設けられており

現在もしっかりと残っていました。

コンクリート製の水路橋に,遺構探訪の中では初めて遭遇しました。

 

 

 

 

 

 

隧道

隧道接近

水路が落葉で埋まっているだけかと

思いましたが,よく見ると

山を貫く隧道になっていました。

水路の底面まで入れても高さは約800mmです。

人力でこれを掘ることを考えると

息が詰まりそうで怖いです。

 

 

 

 

 

自然の爪痕

水路橋は残っていましたが,その隣では水路の側壁が谷側(写真左側)

へ向かって倒れこむように壊れていました。土砂崩れがあったようです。

川からの土砂流入に加え,水路が開渠なら落葉や山からの土砂,

そして土砂崩れによる水路崩壊など,設備を脅かす原因は多く,

水路の維持には大変なエネルギーを要したことと思います。

 

 

 

 

 

 

崩壊水路

ある区間では側板がなく,下から見上げると底板だけが見えている

状況でした。

黒のポリエチレンパイプは発電所廃止後に別用途で水をひく

ためのもののようです。現在は通水されていないようでした。

 

 

 

 

  隧道出口隧道入口

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうひとつの隧道です。右写真が上流側の入り口,左写真が下流側の出口です。この出口より下流側は,山へと上る道路が

できた際に撤去されたものらしく,確認できませんでした。

水路の始まり付近

水路を上流へ辿ると,支流である「釜の沢川」付近で見失ってしまいました。

 沢より上流には水路はなく,合流点付近に堰堤があったものと推定されますが,

河床と両岸がしっかりと改修されており,堰堤の形跡を探すことはできませんでした。

河川改修 

 

 

 

 

 

 

 

発電所跡

 水路跡から約200m下流に発電所の建物が残っていました。

はじめは確証がもてなかったのですが,近くの畑で作業をしていた

おじいさんに聞くと,たしかに発電所だと教えてくれました。

現在は,そのおじいさんの家の所有で,物置として使っている

そうです。

 

 

 

 

建物外観

建物の外観です。面積は10坪くらいでしょうか。

基礎・建物ともにまだしっかりとしています。

 

 

 

 

 

 

 

水圧鉄管支台

支台×3建物から道路を挟んで反対側(山側)に水圧鉄管を

支える台が残っていました。

地面からの高さは約1.5mです。(左写真)

よく見ると,山側の竹やぶの中から連続して

3つの台があります。(右写真)

 

 

 

 

 

 

支台上の花

鉄管のくぼみにはかわいい花が咲いていました。

くぼみから,鉄管の太さは外形約280mmだったと

思われます。

 

 

 

 

 

 

電線引出し口

建物の側面上部に並んだ穴は電線の引出し口です。

枠で囲まれた3つが電力の3相で,残りの2つは通信線などの

弱電線だったものでしょう。

 

 

 

 

 

 

放水路跡

遠景

護岸工事の一環で放水口は

コンクリートで塞がれていました。

 

右写真上方にある竹林の辺りに

上水槽があったらしいのですが,

今では何も残っていないとのことでした。

(調査:2008.4.21

 

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