葭ヶ滝発電所跡
所在地: 愛知県新城市豊岡葭ケ滝27-1 (マップコード:301 258 540) Mapion
取 水: 豊川水系宇連川 放 流: 宇連川
出 力: 28 kW
大正9.12 運転開始[大野電気]
昭和14 ? 移管[中部配電(株)]
昭和20.4 休止
昭和26.5 移管[中部電力(株)]
昭和30.9 廃止
宇連川の右岸,JR飯田線柿平駅から少し上流に遡ったところです。
宇連川は別名「板敷川」と呼ばれ,河床の石が平坦に並ぶ箇所が多い川です。
流れは穏やかです。
右岸,柿平駅から遡った地点の林です。
林の向こうが宇連川ですが,林の中にコンクリート製の水路跡が見えます。
水路は幅600mmくらいです。
落葉が深く積もっており,正確な深さを測ることはできません。
水路を遡ると,途中に排砂門の跡がありました。
コンクリート製の水路ですが,竹の勢いは強く,
底からしっかりと育っています。
水路を遡り,始まりと思しき場所にたどり着きましたが,堰堤の痕跡は確認できませんでした。
川を下流に向かって下ると,右岸の川原の砂が溜まったところに,
突然放水口跡を見つけました。
砂に埋もれていますが,石造りのアーチが確認できます。
放水口に気づいて見上げると,発電所の基礎跡の石垣が見えました。
この基礎上に水車と発電機が据えられ,石垣内部がスペースになっていて
水車を通った水が側面の放水口から川に戻るようになっています。
基礎上に上ってみました。縁石のような石の上に建物の壁が建てられていたようです。
撮影者が立っているレベルが床面であったようです。
写真右下には,水車から放水口へ水が落ちる穴があります。
基礎自体はしっかりとしており,上に立っても不安は感じられませんが,
穴は床下の室につながっており,人ひとりが入ってしまいそうな大きさなので
注意が必要です。
この穴の上に水車があり,水車を通った水がこの穴から下に落ちます。
運転していた当時は川の水位が高く,側面の放水口のアーチはすべてが
水面下であったと思われます。
基礎上から上方を見上げると,上水槽と水圧鉄管を支える
小支台が残っていました。
小支台からみて,水圧鉄管は直径約500mmくらいであったと
思われます。
上水槽に上ってみました。
写真左上方が水圧鉄管の接続部分で,下方の発電所に向かって
鉄管が延びていたようです。
上水槽の末端,水圧鉄管の接続部分です。
下方に発電所がありました。
落差は5〜6mくらいだったと思われます。
上水槽の中から発電所方向を撮影しました。
水のエネルギーから電気へと変える場所であった水力発電所は,
自然エネルギーの流れがみなぎる場所であったはずです。
現在は川のせせらぎが聴こえるだけの静かな場所です。
(調査日2008.1.18)